南青山で結婚相談所まりなびをやっている、竹内亮仁です。
お見合いで「結婚したら、分担ってどう考えていますか」と聞かれる。
正直に答えたら、それまで明るかった相手の表情が、すっと曇った。
「最初から、そこまで言わないほうがよかったのかな」。そういうご相談をいただきます。
この記事では、ごまかさずに、でも一言で終わらせない答え方をお話しします。
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まず、なぜこじれやすいのかを整理します。
「分担」という言葉は、家事のことなのか、家計のことなのか、はっきりしません。
聞いている本人の中でも曖昧なままのことが多いんです。ざっくり「共働きかな」というイメージがあって、それに合うかどうかで答えを受け取る。
だから、こちらが中身を具体的に言うほど、相手のイメージとのずれだけが目立ちます。
答えの中身が悪かったわけではありません。丸かバツかで受け取られる形の質問に、丸かバツかで返してしまった。起きているのは、それだけです。
そこで、答える順番を変えます。
一、先に「お相手によって」と
置いておく
最初の一文は、これです。
「お相手によって考えたいと思っています。それによって、働き方も考えたいです」
はぐらかしではありません。実際の暮らしは、相手の仕事や住まいで変わるからです。
そのうえで、自分の軸を一言だけ添えます。
「どちらかというと、家のことに軸足を置けたらいいなと思っています」。
「仕事は続けながら、無理のない形を二人で探したいです」。
どちらの軸でも、形は同じです。
こう答えると、相手が思っていたところに「私は九対一です」と投げ返す形になりません。
相手からは「家のことを任せられるのかも」とも「働き方を柔軟に考えてくれるんだ」とも受け取れる。そこで話がスパッと終わらずに済みます。
二、そのあとで、
相手の考えを聞く
次に、聞き返します。
「〇〇さんは、結婚したらどんな暮らしをイメージされていますか」
ここで知りたいのは、割合ではなく相手の頭の中にある暮らしの絵です。
帰りの時間、住まい、家のことをどのくらいしてきたか。それが分かると、「分担」が何を指していたのかも見えてきます。
家計の具体的な話は、もう少し仲よくなってからで十分です。
そのときも、いきなり割合を出しません。先に「月の家計費をどのくらいと見ていて、そのうちどのくらいを持とうと思っているか」を聞く。生活費も住まいも人によって違うので、総額が見えないまま割合だけ決めても、話が現実になりません。
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三、「支えたい」は、
暮らしの言葉に置き換える
よく使われる言葉に「相手を支えたい」があります。
気持ちはまっすぐなのですが、受け取る側によって意味が変わります。
お金の面で支えてほしい、と聞こえる方もいれば、家のことを任せたい、と聞こえる方もいる。言った側の中身とは関係なく、相手のイメージで埋められてしまいます。
だから、抽象的な言葉は、暮らしの場面に置き換えます。
「平日の夕ごはんは、私が作れたらいいなと思っています」
「忙しい時期は、家のことを多めに持てたらと思っています」
場面で言うと、相手のイメージで埋められることが減ります。
四、「専念したい」の中身を、
一度確かめておく
もうひとつ、答える前に自分の側で確かめておきたいことがあります。
言葉にするとき、自分でも気づかないうちに、希望が別のものにすり替わっていることがあります。
たとえば「家事に専念したい」が、よく考えると「今の仕事から離れたい」だった、ということ。
「働くのは嫌じゃない。今の職場が合っていないだけだった」と分かれば、答え方も変わります。
どちらの希望がいい、という話ではありません。
中身が分かっていると、相手に渡す言葉がはっきりします。相手の希望とどこで重なるかも、見えやすくなります。
五、決めるのは、
お見合いの場ではない
最後に、いちばん大事なことです。
僕は、お見合いの段階で働き方や分担を決めきる必要はないと思っています。
分担の前に、まずこの人と仲よくなれるかどうかです。会う回数を重ねて、この人となら、と心が動いた相手と、そこから二人で決めていく。
心が先で、暮らしの形はあと。だから、二人とも納得できる形に落ち着きます。
お見合いの日に答えが揃っている必要は、ないんです。
▷ 結婚の話が進まないとき、想像で埋める前に聞いてみる
先に、しんどいところも
書いておきます
正直なところを書きます。
一つめ。一文目だけで終わると、はぐらかしたように見えます。
「お相手によって」は、軸の一言とセットで効きます。片方だけだと、考えていない人に見えることがあります。
二つめ。それでも、合わない方とは合いません。
共働きがはっきり前提の方もいますし、その逆の方もいます。そこは言い方で埋まるものではありません。早く分かるほうがいい、という判断です。
三つめ。聞き返すと、自分の希望と離れていることが分かる場面もあります。
少し気持ちが沈むかもしれません。ただ、交際が進んでから知るより、今知るほうが、お互いに楽です。
それから、よくいただく質問にも先に答えておきます。
「働き方の希望を最初に全部言わないのは、不誠実ではないですか」
隠しているわけではありません。軸は一言で伝えています。
細かいところは相手によって変わるので、変わる前提で話している、というだけです。プロフィールに何を載せるかは、また別の話として整理しておくと迷いが減ります。
▷ 自分の年収を、載せるかどうかで迷ったとき
実際に、
どう変わっていったか
以前、お見合いで分担や働き方を聞かれて、正直に答えたら空気が変わった、というご相談が続いた時期がありました。
面談で一緒にやったのは、答えの中身を変えることではありません。
順番を入れ替えることです。先に「お相手によって」、あとに自分の軸を一言、そして相手の暮らしのイメージを聞く。
迷いが「言うか言わないか」から「どの順番で言うか」に変わります。
成婚された方の言葉も、ご紹介します。
彼には本音が言えて、飾らない素の私で居られると思うようになった頃です。 ネガティブな話も受け止め、逃げずにしっかり話し合える人だと思った時は、結婚してからも一緒に相談・協力しながら乗り越えることができるだろうと思いました。(A.Kさん・40代後半)
A.Kさんが結婚を決めたのは、最初から考えが揃っていたからではありません。話し合える相手だと分かったからです。八ヶ月で結婚が決まりました。
長時間一緒にいても楽しかったし、もっと一緒にいたいと思ったときと結婚生活のイメージが出来たときです。(H.Sさん・40代前半)
H.Sさんは、デートでお互いのことや将来のことを長い時間話し合えたことを、印象に残っている場面に挙げています。結婚生活のイメージは、会うたびに二人で作っていったものでした。一年で結婚されています。
※ ご本人の快諾をいただき、個人が特定されない形で掲載しています。
数字で言えること、
言えないこと
「お見合いで働き方をどう答えた方が、成婚しやすいか」——そういう数字は、うちにはありません。
お見合いでの受け答えを数えて集計する、ということもしていないので、作りません。
かわりに、手元にある数字を出します。
まりなびを卒業された方の71%が成婚されています。
定義は「創業以来の累計。成婚者数 ÷ 会員数」です。
プロポーズまでは平均11ヶ月でした。
なぜこの数字になるのか、サポートの中身も書いておきます。
まりなびでは、お見合いで何を聞かれて、どう答えたかを、次の面談でそのまま扱います。
次に同じことを聞かれたら何と言うかまで、一緒に決めて持ち帰る。男性側がその質問をどういうつもりで聞いているかも、そこで翻訳してお伝えしています。
入会から卒業まで同じ担当が伴走するので、前のお見合いの流れを説明し直さずに済みます。
働き方を聞かれる前の、
小さな手順
- 自分の軸を、一言で書いておく。
「家のことに軸足を置きたい」「仕事は続けたい」。一言で十分です。 - 最初の一文を、決めておく。
「お相手によって考えたいです。それによって働き方も考えたいです」。 - 聞かれたら、一つ聞き返す。
「〇〇さんは、結婚したらどんな暮らしをイメージされていますか」。 - 「支えたい」を、場面の言葉に置き換えてみる。
平日の夕ごはん、忙しい時期の家のこと。具体的な場面で言います。 - 家計の話は、仲よくなってからにする。
そのときは割合より先に、月の家計費と、どのくらい持つつもりかを聞きます。
一度、
考えてみてほしいこと
最後に、ひとつだけ持ち帰っていただきたい問いがあります。
「結婚したら、平日の夜をどんなふうに過ごしていたいですか」
働き方の答えを探すための問いではありません。二人でいる夜の、なんでもない場面を思い浮かべてみるだけです。
その場面が浮かぶと、自分の軸の一言は、そこから自然に出てきます。
*
2005年から20年、これまで2,000人ほどの方の婚活を、そばで見てきました。
結婚後の暮らしを二人で決めていった方に共通しているのは、お見合いの日に答えが揃っていたことではありません。
話し合える相手と、話し合える順番で進んだことです。
まずは、最初の一文を用意しておくところから始めましょう。
まず自分で確かめたい方は、小冊子から
次に聞かれたときの答え方を、一緒に決めておきたい方へ