会って、お話しした。悪い雰囲気でもなかった。
なのに、沈黙が流れた瞬間に、頭が真っ白になる。
「何か話さなきゃ」と焦って、気のきいた言葉を探して、
そのあいだ、相手の顔がうまく見られなくなる。
帰り道、「今日もうまく話せなかったな」と、
ひとり反省会が始まってしまう。
*
それは、あなたの話し方の問題ではありません。
ひとつには、会話が続く楽しい人ほど、男女を問わず早く結婚していきます。
だから婚活の場には、そもそも多くいないんです。
そしてもうひとつ。ちゃんと相手とつながりたい——
その気持ちが強いから、沈黙が怖くなるんです。
どうでもいい人となら、間が空いても平気ですよね。
だから今日は、その「会話が続かない」を、
少しだけ軽くする見方を、お話しさせてください。
続かないのは、話す力が
足りないからじゃない
会話が続かないとき、わたしたちはつい、
「うまく話せる人になろう」と考えます。
おもしろい話題を用意しなきゃ。
沈黙を埋める言葉を、もっと持たなきゃ。
でも、ここに小さな勘違いがあります。
会話は、うまく話した量で決まるものではありません。
「この人、ちゃんと私に関心を向けてくれてるな」。
相手がそう感じられたかどうかで、ぜんぶ決まります。
だから、変えるのは「話す力」ではないんです。
ほんの少し、向ける先が変わるだけで、会話の手ざわりは変わっていきます。
「気にしすぎ」を、
ほどいていく
沈黙が怖いとき、心の中はとても忙しくなっています。
「変なこと言ってないかな」
「つまらないと思われてないかな」。
意識のほとんどが、相手ではなく、
「相手にどう見られているか」と、自分のほうを向いています。
これは、ちゃんとよく思われたい、嫌われたくない——
その気持ちが、つい自分のほうへ焦点を向けさせるだけ。
でも、自分のほうばかり見ていると、
目の前の相手のことが、かえって見えなくなります。
「うまく話さなきゃ」を手放して、
「この人どんな人なんだろう」に、そっと視点を置きかえる。
それだけで、肩の力は、ずいぶん抜けていきます。
うまく話すより、
関心を向けるだけでいい
では、関心を向けるって、具体的に何をするのか。
むずかしいことではありません。
相手が話してくれたことに、
「そうなんですね」「わかります」と、まずそのまま受け取る。
気のきいた返しより、こちらのほうがずっと届きます。
人は、正論で言い負かしてくる相手より、
「そう」とうなずいてくれる相手に、心をひらきます。
そして、相手が話したそうにしていることを、
ひとつ、もうひとつと、聞いていく。
あなたが話題を出し続ける必要は、ありません。
そして、受け取れるようになったら、聞く中身も少しだけ変えてみてください。
「お仕事、大変ですか?」「普段の食事って、どうしてるんですか?」——
趣味や休日の話より、暮らしのことのほうが、
ほんとうはお互いに知りたいことのはずです。
聞いたら、自分のことも同じくらい伝える。
これは、話術でも駆け引きでもなくて、
ただ、目の前の人に関心を向けているだけです。
以前、お見合いで何を話せばいいか分からない、
という方がいました。
沈黙がこわくて、話題を用意していく。
でも、用意した話題が尽きると、また黙ってしまう。
お伝えしたのは、話題を増やすより、相手を知りにいくこと。
たとえば、お菓子ひとつからでも広がります。
甘いものと、しょっぱいもの、どちらが好きか。
そこから、休みの日の過ごし方や、食べに行くお店の話に、芋づる式につながっていく。
別の方は、逆に、彼の話が長くて自分が話せない、と困っていました。
質問をして、相手が答える。そこまではできている。
足りないのは、その合間に自分のことを少し挟むことでした。
分かってもらうためではなく、知らせるだけ。
自己開示のあとに質問を置くと、話題もこちらから動かせるようになります。
なお、「話が長いな」と感じはじめたときは、
意識が自分のほうに戻っている合図でもあります。
会話が弾む人に、出会えない時は
会話が弾む人に、なかなか出会えない——ということは、あります。
そんな時は、目的を思い出してみてください。
そもそも、なぜ結婚したいと思ったのか。
たぶん、幸せになりそうだから、ですよね。
だとしたら、会話が続くこと以外に、
幸せを感じられることって、どんなことがあるでしょう。
僕が女性からよく聞くのは、まず安心感です。
自分の味方がいる。帰る場所がある。
支え合える人がいる。うれしいことを分かち合える人がいる。
もう少し具体的にすると、
お金の心配をしなくていい。働き方を、自分で選べる。
家事を分担できる。一緒にごはんを食べる。旅行を楽しむ。
どれも大事ですよね。
「会話が続く」も、その中のひとつです。
では、その全体の中で、
「会話が続く」は、どのくらいの優先順位でしょうか。
ここに正解はありません。人によって違います。
ただ、そこがはっきりしてくると、目の前の人の見え方も変わってきます。
会話の楽しさと、暮らしの安心は、別のもの
会話が続いて一緒にいて楽しいことと、暮らしの安心は、
必ずしもイコールではありません。
疑ってかかってください、という話ではなくて、
別のものとして、どちらも見てみてください、ということです。
会話が続くと、
条件も後からついてくる
ここまで読んで、少し気持ちがゆるんでいたら、うれしいです。
婚活をしていると、つい、
自分に対する関心度から、相手を見てしまいます。
それは、自分の幸せを真剣に考えている証拠で、悪いことではありません。
ただ、順番だけ、覚えておいてほしいんです。
「自分にどうしてくれたか」で見るより先に、まず「彼はどんな人なのか」。
「第一印象じゃわからなかったけど、意外な一面もあるんだな」。
たとえばそんな感覚から入ったほうが、相手も心をひらいてくれます。
そして、心でつながった相手の中から選んでいくと、
気づけば、条件のほうも納得できる人に、大切にされている。
心が先で、条件はあと。でも、条件もちゃんと叶っていく。
会話が続くようになることは、その入口を、ひらいてくれるものです。
沈黙が怖くなった日の、小さなステップ
とはいえ、「明日から平気で話せる」なんて、無理な話です。
沈黙への怖さは、すぐには消えてくれません。
なので、また頭が真っ白になってしまった時の小さなステップだけ、ここに置いておきます。
- 「うまく話さなきゃ」を、いったん下ろす。
あなたの会話力が足りないわけでは、ありません。 - 視点を、自分から相手へ向けなおす。
“どう見られてるか”より、”この人どんな人?”に視点を置きかえる。 - 「そう」「わかります」で、まず受け取る。
気のきいた返しより、うなずきのほうが、ずっと届きます。 - 沈黙を、無理に埋めない。
間が空くのは、気まずさではなく、ふつうのこと。
安心できる人と一緒にいると、だんだん心がひらいていきます。
そうすると、関係のほうも、楽しくなっていく。
初対面の時点とは、少し時間差がある、というだけなんです。
婚活で知り合って結婚された方には、交際期間が短いぶん、
結婚してからの恋人気分が長い——そういう特徴もあります。
*
僕は、東京・南青山で結婚相談所まりなびをやっている、竹内亮仁です。
2005年から20年、男女のパートナーシップを研究してきて、
これまで2,000人ほどの方の婚活を、そばで見てきました。
その中で、何度も思うことがあります。
「会話が続かない」と悩む方ほど、本当はやさしくて、
ちゃんと相手を大切にしたい人なんです。
足りないものを足すのではなく、
向ける先が、ほんの少し変わるだけ。
そういう小さなコツを、ちゃんとお伝えしたいと思っています。
この続き——
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